東京図書株式会社

math stories 測る

上野健爾・新井紀子監修/上野健爾 著

A5判 272頁 定価 1980円
ISBN 978-4-489-02056-8 C034
2009年12月刊行

◎「測る」ことから見えてくる数学

私たちの祖先は、知恵と工夫によって、いろいろなものを測りました.
沖の船までの距離も、木や建物の高さ、大陸の広さ、地球の海水全体の量、地球から月までの距離さえも測ったのです.ひとえにそれらを測ることが人間の生活にとって、どうしても必要だったからです.
本書では、小学校から大学にいたるまでの算数・数学に登場した「測るはなし」をつなぎ、人間が「測る」ことにかけた情熱と工夫について,数学の立場から紹介します.

上野健爾(うえの けんじ)

東京大学理学部数学科卒業。理学博士。現在、四日市大学関孝和数学研究所所長。京都大学名誉教授。専門は、複素多様体論。
現在は複素多様体論の応用として数理物理学の共形場理論を研究し、3次元トポロジーへの応用を試みている。また毎年1月に高校生向けの現代数学入門講座を開講してきた。
主な著書:『代数幾何入門』『代数入門』『代数幾何』(それぞれ岩波書店)、『円周率πをめぐって』『数学フィールドワーク』(それぞれ日本評論社)

Cmath stories 刊行にあたって

はじめに

 

CHAPTER 1 人はどのようにして測ってきたのか
1.1 地球の大きさを測る
1.2 ものさしで測ることのできない長さ
1.3 円周を測る
1.4 弦の表-三角函数の誕生-

 

CHAPTER 2 多角形の面積
2.1 多角形の面積
 2.1.1 面積の求め方の復習
 2.1.2 面積の持つ基本性質
 2.1.3 当たり前は意外に当たり前ではない
 2.1.4 三角形の面積
 2.1.5 三平方の定理
 2.1.6 相似な図形の面積
 2.1.7 ヘロンの公式
2.2 分割合同問題
2.3 ピックの定理

 

CHAPTER 3 曲線の長さと曲線で囲まれた図形の面積
3.1 万能ものさしと数直線
3.2 平面の座標
3.3 曲線の長さ
3.4 円周の計算
 3.4.1 半径1の円周の長さ
 3.4.2 円周率の計算
 3.4.3 荻生祖徠の疑問
3.5 円の面積
3.6 カバリエリの原理
3.7 三角函数
 3.7.1 角度
 3.7.2 三角函数
 3.7.3 三角函数の加法公式
 3.7.4 三角函数の無限級数表示

 

CHAPTER 4 瞬間速度と面積
4.1 瞬間速度と微分
 4.1.1 微分
4.2 三角函数の微分
4.3 積分
 4.3.1 定積分
 4.3.2 連続函数は積分可能
 4.3.3 微分積分学の基本定理
4.4 カバリエリの原理再論
4.5 曲線で囲まれた図形の面積
 4.5.1 グラフから定まる図形の面積
 4.5.2 扇形の面積
4.6 曲線の長さ再論
 4.6.1 曲線の長さの定義
 4.6.2 円周
 4.6.3 積分を使って曲線の長さを求める
 4.6.4 円弧は長さを持つ
 4.6.5 渦巻きの長さを測る

 

CHAPTER 5 体積
5.1 立体図形の体積
 5.1.1 体積とカバリエリの原理
 5.1.2 錐体の体積
 5.1.3 回転体の体積
5.2 多面体の分割合同
 5.2.1 多面体の体積再論
 5.2.2 角柱の体積
5.3 デーンの定理-ヒルベルトの第3問題-
5.4 球の体積と表面積
5.5 回転体の表面積
5.6 n次元球面の体積と表面積

COLMN ボールのマジック 砂田利一

 

CHAPTER 6 測度と積分
6.1 ジョルダン測度
6.2 ルベーグ測度
 6.2.1 無限
 6.2.2 ルベーグ測度
 6.2.3 ルベーグ積分

 

CHAPTER 7 デタラメのなかの秩序
7.1 乱数と円の面積-モンテ・カルロ法-
7.2 ビュフォンの針
7.3 巨大な数の分子を数える-ブラウン運動-

 

付録 実数の連続性と連続函数の最大最小

 

参考文献
索引

■推薦の言葉

経済学に数学は必要だが,なかなか文系には難しい。
速度と微分,ルベーグ積分,ブラウン運動……。
すべてを「測る」の観点から説き起こす本書には,
一流の数学者ならではの見事な分かり易さがある。

西村和雄