論理と言葉の練習ノート ――日々の思考とAIをつなぐ現代の必須科目
川添 愛 著

A5判 272頁 定価 2420円
ISBN 978-4-489-02368-2 C0040
2021年9月刊行
◎この人の発言は論理的に正しいのか? 正しくないのか? その根拠は何か? そもそも自分は論理的に考えられている?
何気なく使っている、「論理」と「言葉」。
それは、人間が生きるためのキホン。
AI時代の今、その仕組みを知るための「必須科目」でもあるのです。
言語学の枠の内外で活躍する著者が、読者をいざないます。
【この本の目標(「はじめに」より抜粋)】
・自分や他人の考え方の筋道を、ある程度点検できる。
とくに、「自分は(この人は)論理的に考えている(いない)」といったぼんやりとした思いが、実際に正しいのか正しくないのかを判断できる。
・論理的に結論を出すために、いま持っている情報で十分なのか、そうでないのかを判断できる。
・論理的に考えることが必要な状況や、論理だけで割り切れない状況を見分けることができる。
とくに、現実的ではない極端な考え方に注意することができる。
・日常の中で論理がどのように役立っているかに気づくことができる。
・言葉の曖昧さや危うさを知り、論理的な考え方を日常の言葉に活かせるよう気をつけることができる。
・今のコンピュータやAIの設計に論理がどのように関わっているかを知る。
(そして、コンピュータやAIにさせたい仕事や、コンピュータやAIが出してくる結果を、正しく理解し、活用できる。)
川添 愛(かわぞえ あい)
九州大学文学部、同大学院ほかで理論言語学を専攻し博士号を取得。
津田塾大学女性研究者支援センター特任准教授、
国立情報学研究所社会共有知研究センター特任准教授などを経て、
言語学や情報科学などをテーマに著作活動を行う。
著書に『ふだん使いの言語学』『聖者のかけら』(新潮社)、『ヒトの言葉 機械の言葉』(角川新書)、
『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット』(朝日出版社)、
『白と黒のとびら』『精霊の箱』『自動人形の城』『言語学バーリ・トゥード』(東京大学出版会)、
『コンピュータ、どうやってつくったんですか?』『数の女王』(東京書籍)など。
はじめに:論理的に考えようって言われても……
1. 論理編――論理って何?
1.1 まずは、「論理」という言葉を整理しよう
1.2 正しい推論には型がある
1.3 じゃあ、何のために論理なんか勉強するの?
応用のヒント1. 推論を見つける・推論を表現する
1.4 正しい推論とそうでないものを見分ける方法:文の真偽と世界
1.5 「ではない文」と「あるいは文」を含む推論
1.6 「なおかつ文」を含む推論
応用のヒント2. 推論に穴がないかを見極める
1.7 「ならば文」についてもう少し:裏と対偶
1.8 「すべて文」の関わる推論
1.9 「ある・いる文」の関わる推論
1.10 必ずしも正しくないけれど、重要な推論:帰納
1.11 推論の問題点を指摘しよう
応用のヒント3. 「だから」の背景を探る
2. 言語編――言葉と論理の関係は?
2.1 定義って何だろう
2.2 普通名詞の曖昧さ
2.3 「ならば文」の曖昧さ
応用のヒント4. 定義や解釈を明確に
2.4 「あるいは文」の曖昧さ
2.5 「なおかつ文」の曖昧さ
2.6 「すべて文」と「ある・いる文」の曖昧さ
2.7 「ない」の影響範囲
応用のヒント5. 数量を述べる表現を使うときのポイント
2.8 常識と含意に基づく推論
2.9 言外の意味の推測
2.10 「誰が言ったか」に惑わされないためには
2.11 その言い方は適切だろうか?
2.12 その前提は適切か
応用のヒント6. グレーな状況を認識する
3. コンピュータ・AI編――機械にとって論理とは?
3.1 そもそもコンピュータとは?
3.2 コンピュータは論理から生まれた
3.3 プログラミングと論理
3.4 AIとは? 機械学習とは?
3.5 今のAIの作り方と「論理」
応用のヒント7. AIという言葉に出会ったら
おわりに
さらに学びたい方へ
あとがき
参考文献(本文で紹介したもの以外)